☆ 娘からの突然の旅行提案
五月のゴールデンウイーク明け、娘から「今月末に宮古島へ観光に行こう。そのつもりで。」という電話があった。MoriもHisakoraも宮古島は行ったことがない。Hisakoraはこのところのコロナ騒ぎで出歩くこともめっきり減り、旅行に耐えられるかどうか心配である。でも、車椅子で移動するのだから大丈夫だとMoriは思った。
コロナが流行する少し前、義母が97歳で召天した葬儀の時のこと、娘が「来年春休みにハワイに一緒に行くから体を鍛えておいて。」というのでMori夫婦もできたらそうしたいと思っていた。しかしながら、その直後コロナが発生。日本では、プリンセス号の乗客に感染者が出たり、奈良から東京に観光バスを運転した運転手とバスガイどの感染が確認され、東京湾で屋形船で宴会をした個人タクシーの同業組合の何人かの感染も確認された。三月末には全国の学校が休校になり根緊急事態宣言が発令された。ハワイ旅行などということはとんでもないことで、すっ飛んでしまった。
コロナも当初恐れていたほどでもなくなったので、旅行を計画しようというわけである。しかしながら、海外旅行はまだまだ難しい。そこで国内旅行で我慢しよう、ということになった。
娘の提案の宮古島は、Moriはあまり気が進まない。どうせなら石垣島の方に行きたかった。娘は宮古島の超デラックス・リゾートホテルが取れた。と言ってきた。所がそのリゾートホテルは新婚さんが多く、ホテル内のレストランも、ドレスコード付きだという。Moriらにはもう、大した洋服も持ち合わせてない。Moriは「宮古島より石垣島に行きたい。」と逆提案。または「プリンセス号で船で沖縄から台湾までのコースはどうか?」
船はやはり危ないということで中を取って石垣島に行くことになった。娘夫婦と末っ子の孫娘。Mori夫婦の5人の観光旅行であるが、それぞれ出発地が異なるので石垣空港で落ち合うことにした。Mori達は初めて乗る格安運賃の飛行機で石垣へ、娘ら一行はANAで石垣へほとんど同時刻ごろの到着予定であったが、Mori達の便は出発空港で前便が滑走路で鳥と衝突したとのことでその事後処理で離陸が約45分遅れてしまい、その分到着も遅れてしまった。でも、Moriが一番恐れていた格安の航空機で無事に着陸出来て良かった。
石垣島は台北より緯度は南である。前日まで梅雨の真っただ中で大雨が降っていた。Mori達が到着前まで飛行機は雲の中、多少の揺れもあった。着陸したときは晴れていて蒸し暑い。
先着の娘夫婦が借りたレンタカーに乗って石垣島で一番きれいな砂浜により、リゾートホテルに向かう。ホテルはバリアフリーの部屋が用意されていた。少し休憩してグラスボートに乗り海底を覗く。以前沖縄でも見ていたのとさほど変わらない。
翌日へりーで武富島に行った。少し波は高かったが20分くらいなので、Hisakoraも船酔いする暇もない。水牛の牛車にのり島をざっと回る。ハイビスカスが美しい。あとバスで星の砂で有名な砂浜に行く。あまり見つからない。Hisakoraはもっぱらサンゴのかけらを拾っている。砂浜を杖を突きながらエッチら、やっこら、大変である。バスで船着き場に帰ったが次の便まで1時間以上。近くの歴史資料館に行く。
石垣に帰り、へりーターミナルでソーキそばを遅い昼めし代わりに食べる。あまりおいしくない。沖縄本島でたべたのはずっーと美味しかった。
ホテルに帰り休憩する暇もなく、水着に着替えプールサイドに集合。Moriは子供のころからほとんど泳げない。大学生の時体育の時間50メートルを何泳ぎでもよいから一分以内で泳がなければ単位がもらえない。なんていう条件が付けられ、仕方なく毎晩寮の近くの学校のプールで水泳部の同級生から特訓を受け、何とか一分以内で泳げるようになったが、それ以来まともに、プールでも海でも泳いだことはない。
☆ Hisakoraの願い
Moriと違って、Hisakora(妻)は海育ちのため、幼いころから潮水に慣れ親しんできた。淡水プールより海で泳ぐことを好む。しかしながらパーキンソン病のせいとMoriのせいで、このところトンと海につかることもなくなっている。死んだら二人とも散骨を望んでいるが、妻は「海に散骨してくれ」という。反対にMoriは「山に散骨」と願う。
何年ぶりだろう。妻がプールに入った。娘の手を借りてやっと水に浮いた。水に慣れてきたところで、ホテルのプライベートビーチへ。妻はおしりをつけて少しずつだが潮水に浸かっていく。肩まで浸かって娘が背中を取って仰向けにして背泳ぎの格好をさせた。妻は二、三回足を弱くばたつかせた。今の妻にできる最高の海水浴である。
滞在中天気はすこぶるよかった。こうして2泊3日の短い旅は終わったが、娘にとっても、妻にとっても思い出の旅であった。Moriにできないことを娘がやってくれた。妻のもう一度海で泳ぎたいという願いが実現した。
天の神様ありがとうございました。