パーキンソン病の妻と介護する夫の日記

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新国立競技場見学

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新国立競技場
今回持参の歩行器
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☆ 留守番の合い間に妻と新国立競技場見学

・ 2020年2月13日妻はmoriに新国立競技場と東京スカイツリーを見に行こうと言い出した。せっかく横浜まで来ているんだからとにかく行こうという。道順はGoogleMapで調べればすぐにわかる。便利なご時世である。だが、今回横浜に来たそもそもの目的は末の孫娘の保育園の送り迎えと食事の用意が主な役目である。洗濯など済ませて出かけるとなると、11時ごろになる。片道1時間半くらいの道のりであり、往復だけで3時間かかる。妻はどちらにも行きたいようである。そうするとどういう順番が良いか? moriはいっぺんに両方を回るのはとても無理なことと思い。まず、新国立競技場に行こうと決めて留守宅を出た。予定通り11時過ぎであった。

・ 最寄りのJRの駅まで通常5~6分の所、今の妻の足では30分以上かかる。写真の歩行器と杖を交互に使い一歩一歩前に進む。薬が良く効いていたころには杖も歩行器もいらず普通の人と変わりなく歩けた。10年前間同じような留守番役の時は駅まで等なんでもなかった。この10年の間にパーキンソン病の症状がだいぶん進んでしまった。でも、前向きで負けず嫌いの妻は良く頑張っている。

・ 最寄りの駅で切符を買い改札をと売り抜けるにもかなり時間がかかる。後ろのお客さんを気にすればするほど足が立ちすくむ。やっと通り抜けエレベーターでホームへたどり着く。Googlemapの指示に従い一番後ろ近くの2号車に乗る。さすがに昼間は社内はすいており二人とも難なく座ることができた。乗換駅の浜松町ではすぐ近くにエレベータがあるはずだったが見つからない。どうも指示が反対で一番先頭車両の近くにエレベータがあった。それなりの乗降客の間を通り抜けてそこまでたどり着くのも大変だった。JRの改札口を出て都営地下鉄大江戸線に乗り換える前に昼食をとることにした。12時半を回っていた。大江戸線への生き方を近くにいた警備員に尋ねるととても親切に教えて下さった。大江戸線の大門駅に向かう。大江戸線の改札口までのエレベータはあるがそこまでの距離がかなりある。妻は果敢にも近くの階段、エスカレータの方を選んだ。パーキンソン病の特徴で歩幅は狭く一度何かのきっかけで立ち止まると足が前に出なくなる。エレベータの乗り降りも難しい。エスカレータはなおさらで、特に下りは苦手であり、危険極まりない。必死の思いで妻と共に大江戸線のホームについた。大門から国立競技場前駅までは14~15分であった。地上に向かうエレベータのノリ口はすぐに見つかったのに妻はまた、エスカレータを選んだ。地上までエスカレータを4~5回乗り換えてたどり着く。比較的人が少なくて慌てることがあまりなかったのが幸いした。

・ 地上に出るとすぐ右手にテレビや新聞で見たあの独特のスタイルのスタジアムが見えた。えっちらおっちら歩行器を押しながら四分の一周行ったところで、写真を撮った。結構我々と同じように見物に来ている人たちや外国人の一行に出くわす。コーヒーでも飲んで人休憩したいところであったが近くに喫茶店らしきものが見当たらない。時間も午後3時を回っていた。4~5枚の記念写真を撮って帰りにかかった。再び同じ苦労はさすがに妻も避けてくれた。改札口までエレベータで下り、ホームに出たときちょうど電車が入ってきたが、妻は立ち止まって足が動かない。仕方ない。次の電車を待つ。次の電車に乗り込んだ時優先席を若いお兄さんがすぐに立ち譲ってくださった。私らのすぐ後に乳母車に赤ん坊を乗せたお母さんが乗ってきた。妻は反対側に立っているmoriに何か言っているが耳の少々遠くなったmoriには何を言っているかわからなかった。妻は立ち上がりその若いお母さんに自分の席を譲ろうとしている。moriが慌てて近づくと、どうもそうではなくmoriが立っていたところは乳母車専用のスペースだと言っていた。田舎者で、最近電車や地下鉄に乗ることのめっきり少なくなったmoriにはそんな常識を知らなかった。大門で電車を降りるときも妻の足は立ちすくむ。moriは妻の腕を捕まえ無理やりに引きずるようにして降りた。妻はひどく怒った。確かに妻は倒れそうになって後ろの人が支えてくれて助かった。都会の電車は次から次に来るので便利だが、その分停車時間も非常に短く年寄りや妻のような病気のものには大変危険な乗り物である。確かに車いすに乗っている人へは駅員が親切に対応しているので安心だが、そこまでではないと思っている人に対しては危険極まりないと感じたmori老人夫婦であった。

・ 結局留守宅へ帰りついたのは午後5時を少し過ぎたところであり、moriは帰るとすぐに孫娘を迎えに保育園へ急いだ。

・ 妻の出かけもついに車いすの時がやってきた。いやまだそれを認めない妻である。東京スカイツリーへの道は険しい。

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