★ 餅をノドに詰まらせる
・ 2024.11.24(日)は早朝から大変な一日が始まった。5時前に妻がトイレに行きたいと言うのでいつものようにベッドから起こし、車いすに乗せてトイレに連れてく。ほんの少しの距離だが途中で「漏れた」と言う。「紙パンツを履いているので大丈夫だよ」。トイレで車椅子から立たせパジャマのズボンを脱がせかけたところでウンチがタダ漏れ、足を伝って床まで大量に出た。とにかく便座に座らせ、Moriは何とか応急処置で床の分を片付け、妻の足とお尻を拭き浴室に連れて行きシャワーできれいに洗い少し時間は早いがいつものように着替えさせ、もう一度ベッドに寝かせた。
・ Moriはそのまま起きて、汚れたパジャマや肌着を始末し、朝食の準備を済ませた。いつもは6時頃に朝一の薬を妻に飲ませている。この日は妻を再び起こしたのは7時ごろ。急いで遅くなった朝一の薬を飲ませた。メネシット薬が効き始めるのにかなりの時間を要するがどのくらいかかるかはその日の体調などで違うのではっきりは分からない。あまり時間をおかずに朝食に取り掛かった。これがいけなかったとMoriは後悔している。
・ 妻はこの頃、朝お餅の焼いたのを好んで食べるようになった。以前は嚥下力が衰えてきたのでお餅を小さく切ってあげて、少しずつ食べていたが、今年の2月頃よりメネシットの量が2錠増え一日8錠にしてからは、のどに詰まらせることなく食事がスムーズに出来ていた。いつものように焼いたあんこ餅を一つ皿に乗せて出した。Moriも自分の朝食のプレートを食卓に運び食べ始めた。しばらく朝の会話をしながら一緒に食べていた妻が急にせき込み苦しみだした。Moriは背中をたたき、さするが妻の苦しみは取れない。Moriは吸引機をセットし吸引するも、なかなか収まらない。呼吸困難な状態の中で妻が「救急車!!」と微かに言う。すぐに119に電話。到着までの間もMoriは吸引機で何とか詰まったものを取り出そうとした。酸素濃度を測定しながら妻に呼吸を促す。酸素濃度が一時は70%台だったのが救急隊の方が到着したころには92~3%に回復していた。吸引していた時に、餅のかけらを取り出すことができた。
・ やれやれ、Moriは思ったが、救急隊の方は、妻の掛かりつけのA病院に電話して対応を尋ねていたが日曜日のせいで対応できないので精密検査可能な医療センターで念のため検査をした方が良い、とのことで救急医療センターへ搬送。Moriも車で後を追う。2時間以上ものX線、CTスキャン、血液検査の結果「どこも異常は認められないが誤嚥性肺炎になる恐れがあるので」と抗生物質が処方され、様子を見ることになり、家に連れて帰った。昼を過ぎていた。妻をベッドに休ませた。午後3時ごろ起こして薬を飲ませてみたら、何もなかったように飲めたので、おやつは食べられるかと、たずねると食べたいというので饅頭を出すと、難なく食べた。今度は本当に、やれやれと思った。夕ご飯も、おかゆではあったが食べ終わった。
・ 翌日はいつものように6時過ぎに朝一のメネシット1錠を飲ませ、ニュープロパッチ32mg張替え、7時20分ごろから朝食にした。朝は果物、野菜の茹でたもの、スクランブルエッグ、それにおかゆで、ほとんど食べた。この日は午前中庭に出て草取りなどした。午後2時半ごろヘルパーさんが来て妻を風呂に入れてくれた。毎週月曜日と水曜日にヘルパーさんが来てくれる。火曜日、木曜日、金曜日は介護施設に行く。また平常に戻った。
・ 翌日火曜日はデイサービスに行く日。朝一の薬も時間通りに飲ませ朝食を7時半ごろいつものように食べ始める。またまた喉に何かが詰まったらしく、激しくせき込む。さする、背中をたたく、吸引をする。この間酸素濃度がだんだん下がり、唇が紫色になってきた。今度はMoriが慌てて119番通報。吸引を続けていると、ブロッコリやホウレン草のちいさなかけらを吸い出した。それから酸素濃度は急に回復し、94~5%までに回復したころ、救急車到着。今度は先日の救急医療センターの方へ。
・ 検査の結果今度も異常なし。それでMoriは妻を介護施設に連れ届け家に帰る。昼ご飯を食べていると、介護施設から電話「奥さんの様態が急変した。吸引したが良くならない。救急車で医療センターに搬送します。」「昼ご飯をつまらせたのですか?」「まだ昼ご飯を食べていない」何を詰まらせたかわからない、痰か何かを詰まらせたのだろう。またまたMoriも医療センターへ。
・ さすがに二度も三度も同じことを繰り返すので、医療センターは入院して様子を見ます、と。それから、薬と栄養を取るため、はなから管を通すが良いですかと聞かれる。Moriは了承するしかない。
・ この医療センターに火、水、木曜の朝で退院し、かかりつけのA医院にはなから管をさされたままの妻を自分の車に乗せて移動、入院させた。
・ 嚥下機能が低下しているため、今のところ鼻から薬と栄養を入れるしかない。これから先様子を見て口からの食事を試みるが、回復できないときは”胃ろう”になるかも知れないか゛どうしますか? 私は即座に断った。「そのことは妻も望んでいなく、娘も望んでいません。これ以上妻を苦しませたくない。」
・ 入院のための検査を担当する医師と妻がかかりつけのパーキンソン病専門の医師は別人である。私は妻の検査中に、パーキンソン病の事で27年間お世話になっている先生と話をした。先生も初めは”胃ろう”の方法もあるが前からそれはしないという方針であることは承知している。そしたら入院検査をしている先生に強く”胃ろう”は反対だと言いなさい。と言ってくださった。「でも長いこと付き合ってきてこの時を迎えるのは自分がつらい」とも先生に言われ、私は涙を出しながら「これまでありがとうございました。最後までよろしくお願いします。」と言って退席した。
・ 今度の入院はレスパイト入院とかでなく、長期入院になることと思う。でも、もう一度我が家に戻って口から食事を一緒に食べられることを祈っている。